2010.東日本縦断風ツーリング
8月6日
朝、今日も良い天気なのです。
高原って言ったってこんな猛暑続きなんだからテントで寝られるのか?と思ったけれど、思いっきり寝てましたね。ええ。
ひとしきりウダウダしながら準備して、7時半ごろ出発です。
さすがに高原だし朝だし、走っていると少し肌寒いくらい涼しいですね〜。
今日の目的地は、ちょっと前に世界遺産になるとかならないとかひと悶着あった「中尊寺金色堂」。
現在位置は栃木県那須塩原市なので、岩手県にある平泉町まではまだ福島県縦断しないといけないのですよ。
でも、今日行かないとちょっと時間的に厳しい感じなので走ります。
磐梯山とか行ってみたかったんですけど。
まあ、正直なところ暑いからまあいいかみたなところもあったりなかったりですけど。
東北の中心よりちょっと東を走る国道4号線は「流れが良い!」と聞いていたのですが、
おっしゃる通り一般道にしてはハイスピードで移動できます。
ただ、一般道っていうのは当たり前ですけど信号がありましてですなあ、
この信号待ちのときがもう暑いったらありゃしない。
バイク乗ってる時は基本的に肌が出ているところは無いようにしてるんですよ。
以前、鎖骨にカナブン喰らったことがありまして、折れたかと思ったくらい痛かった想い出がありますのでね。
でも、日光ってのもまたこんだけキツイと色々やらかしてくれるものですね。
まず、首筋とか手首とかはまあ予想できたんですが、
ショートソックスを履いていると足首の微妙〜な隙間をチリチリチリチリ焼いてくれるんですね〜。
これはマズイということで慌てて靴下購入。
これまでそんな事思ったこと無かったんだけどね。
暑い話ばっかりして申し訳ないんだけど、昼前にしてもう限界っす。
貧乏ライダーのクセにETC無しで高速行こうと思いま〜す。
ということでまたも挫折を経験しつつ、東北道にてワープでございます。
高速って、一般道走ってる感覚からすると本当に「ワープ」ですよね。
降りたときにどこにいるんだか解らなくなってるとこなんかもね。
適当にPAでそばを食べたり、駐車場にいた日本縦断一気走りライダー氏と雑談して東北まで来たこと実感したりしながらも
高速なんで割とヨユーで岩手県到達なのです。
やっぱスゴイわ高速。
中尊寺は平泉前沢ICから少し南下したところにありました。
にぎわう山門の近くの駐車場に50円を払ってバイクを止め、歩いて中尊寺の境内へと入ります。
参道は林の中なのでほんの少しだけ涼しいものの、どういうわけかスゴイ坂なのですよ。
月見坂と書かれた急坂をゼーゼー言いながら上る。
この暑いのになんでこんな坂上ることになってんでしょうかね〜(。-ω-)_。
ここが山門
登山口と表現しても良いでしょうか。
坂上りきった少し先には本堂があって、ちょっと休憩できます。
う〜ん、お寺とか久々に来た気がする。
いつ以来だ?もしかしたらお遍路以来になるのかもしれない。
お寺って、人がたくさんいても何故だか静かなんですよね。
そんなところは好きです。
でも信心はないです。困ったことに。
ここが本堂ですね。
ワタクシが見たかった金色堂はさらにこの奥にあります。
でも大丈夫。ここから先はもう大した坂はないっす。
参道をてけてけ歩いて行くと、讃衡蔵(さんこうぞう)という宝物殿があります。
こちらは新しい建物で、拝観券が金色堂と共通ということでせっかくなので見学してみる。
一歩建物に入って愕然とした。
建物の中には、巨大な三体の仏像。
威厳ある姿でニンゲンを見下ろしている。
そして、館内にはなんとク〜ラ〜がヽ(ヽ ̄□ ̄)))))
情けないことに、仏像観賞用と思われるベンチに吸い込まれるようにへたり込むワタクシ。
いや、自分そんなにダメージ受けてる気はなかったんですよ。
けど、クーラーの風を浴びたらもうてきめんでしたね。
しかし、体は正直でもうこの仏像たちの前から離れとう」ございません!
さも、「仏像見てます!」という顔で20分くらいぼ〜〜っとしてしまいました。
皆様、重ねて申し上げますが熱中症にはくれぐれも注意しましょう!!
さて、パワースポット讃衡蔵でパワー注入してもらいいよいよ金色堂見に行きます。
金色堂は撮影禁止でありまして、皆様がよく見られるのは
このような写真じゃないでしょうか。
これは、金色堂を覆うカバーのような建物で「覆堂(おおいどう)」というそうです。
建物をすっぽり覆うっていう発想がなかなか大雑把でステキですね。
きっとこれ考えた人はO型だと思われます。
中に入ると、ツアーと思われるお客さんで人がいっぱい。
放送で金色堂の説明が流れます。
何言ってたのかは正直あんまり覚えてません。
けど、隅から隅まで金色の建物はなかなか見応えがありました。
中尊寺の多くの建物の中でも、建立当時から残っているのは金色堂だけだそう。
それだけ大事にされてきたってことなんですよね。
だって、建物丸ごと何百年も残すってスゴイ事ですよ。
金色堂の前から団体さんとともに押し出され、
またちょっとフラつきながら中尊寺を出ます。
急坂っていうのは上りも下りもエライものなのです。
芭蕉発見。
割といろんなところで会えます。
山門を出たら、汗の分だけ水分取らないと!と思い自販機まで行くものの、
なんと自販機3台回ってもポカリ売り切れorz
そりゃ確かにみんなが暑いしみんなが汗かいてるんだからみんなが同じチョイスをしてもおかしくないんだけどさ〜。
駐車場前の売店では冷蔵庫に入って売ってたので迷わず購入。
500mlとか全然一気飲みできます。
こんなとこで救急車搬送とかされたらシャレにならないので気をつけないといけないですね。
(注;この年の夏は熱中症で救急搬送される人がすごく多かったのです。)
バイクを走らせると、やっぱり暑い。
今日もやっぱり標高高いとこでキャンプした方がいいんだろうな〜。
もうそろそろ日本海側に向かって行きたいので、このまま山越えがいいかな〜
と、キャンプ場を調べてみると、なかなかステキなキャンプ場を岩手−秋田県境に発見しましたよ!
山のかなり高いところにあるキャンプ場で、平日だし誰もいない可能性があるところがちょっとコワイですが、
まあ、完璧無人で無理そうなら秋田県側に降りていけばビジネスホテルくらいあるだろうしね。
何とかなると思われます。
ということで今夜の宿を暫定的に決定。
しかも、このキャンプ場までの道のりの途中にはあの「厳美渓」があるじゃないですか!
いや、ご存じ「水曜どうでしょう」ポイントですけどね。
確か空を飛ぶんですよ!だんごが!!
ということで立ち寄り決定。
今日はさすがに超山奥だし買い出しするところもご飯食べるところもないだろうと判断し、ちょっと早いけど夕食の買い物をする。
本日は炭火焼き鳥としたいと思います。
しばらく走って、意外と街中にあった厳美渓に到着なのです。
磐井川の渓流である厳美渓は、その柔らかい岩の性質から奇岩、おう穴盛りだくさんなのです。
しかし、渓谷美は確かにキレイなんだけどそれよりもワタクシ的お目当ては「郭公だんご(かっこうだんご)」なのです。
存在を 忘れる前に 厳美渓
厳美渓には東屋があるのですが、そこから対岸の建物まで籠のロープウェイがつながってます。
カゴには「かっこうだんご 1人前400円」の文字が。
400円を入れて、そばにおいてある木づちで板をカコーンと叩きます。
すると、対岸の建物の人が現れてひもを引っ張ってカゴを回収(←結構大変そう)
しばらく待つと、だんごとお茶がカゴにのせられてスルスルスル〜っと飛んで来るのですよ。
籠来ましたよ〜♪
お〜!こりゃすごい!
お茶も見事こぼれず川を渡って来てます。
ワタクシももちろんだんご注文します。
通りがかりのチャリダ−氏がその様子を見ていたら、お茶が2つ載ってきました(^^;
食べてみると、観光地モノとは思えないくらい美味いです。
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けど、さすがに1人でだんご3本はキツイのでチャリダ−氏にお裾分け。
チャリダーさんと言うには軽装だなぁと思ったら、車併用チャリダーさんでした。
ってことは行って帰って来る訳か。そっちの方がキツイかも。
併用チャリダー氏は律儀にも団子代を置いて、風のように去って行かれました。
う〜ん、他人のこぐチャリはなんであんなに早いんですかね〜。
そんなことやってたら時間はもう4時半。
ワタクシ的キャンプイン門限は5時なんですけどね。
入れた試しがないですね。
そこから先はひたすら国道342号を上へ西へ西へと進みます。
途中、祝開通!のようなことがたくさん書いてあったのでよくよく見てみると、
ここは2008年6月に岩手・宮城内陸地震震源地のすぐ近くだったようですね。
しかも通行止めが解除になったのが今年の5月22日だそう。
それは。。。危なくキャンプ難民になるとこでしたね(^^;
そうか〜、ここがあのテレビでやってたエライことになってた道路なのか〜。
今はもうすっかりきれいになってるけど、大変だったんだな〜と、感心する。
道はどんどん山を上り、雲の色がどんどん怪しくなってくる。
路面は湿りだし、いつのまにか水たまりまで出てきた。
そうか〜、全くもってそんなこと考えてなかったけどもしかしたら雨降ってるかもしれないんだな〜。
それ困るな。
雨だとキャンプはすごくイヤだし、暗くなるのが早いから秋田県側に降りるのだってすごい大変じゃありませんか。
だってどうひいき目に地図を読んでも相当麓まで街ないもん。
かと言って引き返す訳にもいかず、そのまま上って行くワタクシ。
ものすごく上って、頂上まできたところで立派なホテルが建っていた。
最悪ここ泊まればいいか〜、とちょっと安心してすぐ近くにあるキャンプ場に向かう。
キャンプ場に着くと、心配が的中してしまった。
駐車場には車が1台あるだけ。
それってここの車だろうし、もしかしてこの山奥にひとりですか。
熊出て食われても誰にも気づかれないんじゃ…?
いや、月の輪グマは遺体が残るから大丈夫…ってそういう問題じゃないよな〜。
とりあえず駐車場まで行って湖でも眺めてちょっと考えることにする。
ほら、もしかしたら乗り入れ可のキャンプ場で中にはたくさん人がいるかもしれないじゃん。
雨上がりらしき須山湖。
そんなこと考えてたら管理棟から「泊まるの〜?」と声をかけられた。
「ちょっと考えてます〜!」と答えると、「こっちおいで〜!」とのこと。
まあ、どうしてもイヤだったら受付だけして山降りてもいいや、ということにした。
だって、調べたところこのキャンプ場は1泊400円とかそんな世界なのだ。
管理棟に通され、利用者名簿を書きながら管理人さんの話を聞くと、
今日の利用者はこのキャンプ場の常連さん1人だけ。
だから貸し切りみたいなもんだよ!
テント張るのが面倒なら特別にボート小屋で寝てもいいよ〜!
雨?ああもう降らないよ。
毎日こんな感じだから解るよ。
とのこと。
いや、ワタクシそうキャンプ場に野趣とか静寂とか求めてないんですよ(^^;
何しろヘタレキャンパーなものですから。
まあでも、そこに須川温泉なる温泉があるので温泉は入ります。
それから考えますΣ\( ̄ー ̄;)。
さっき通ってきたキレイなホテルのような「栗駒山荘」というところの温泉が
キャンプ場利用者割引で400円利用できるとのことなので、
さっそく割引券持って栗駒山荘へ行くことに。
ボート小屋に板を敷いてもらって、寝床を作ってレッツゴーなのです。
豪華山荘なり。
栗駒山荘は…いや、ここはおそらくワタクシが易々と泊まれるようなとこじゃないような
高級感溢れる山荘でございました。
温泉に行ってみると、真っ白な硫黄泉。舐めてみると非常にすっぱいです。
これはまた偶然行ったにしては良い湯に当たったもんですね〜。
しかも、山の尾根に遮るものなく建つ山荘露天風呂からの景色がまたステキ過ぎ。
ちょうど日没の時間帯だったので下山の可能性も忘れて赤く染まる山に見入ってしまいました。
ちなみに泉質は酸性・含鉄(II)・硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉だそうです。
しかも湧出量毎分6000gの源泉掛け流し、源泉温度46℃の加水なしともう文句のつけようがない温泉でした。
いいですねこの温泉!ぜひウチの近くに欲しいです。
温泉で温まったところで現実に戻ります。
まあこんだけ寛いじゃったらもう移動する気あんまりないけどね。
今夜の宿のボート小屋まで戻ると、管理棟から呼ぶ声が聞こえる。
管理人さんとは違うおじさまが、「良かったらちょっと飲みませんか〜?」と声をかけてくれていた。
それはもちろん飲みます。
当たり前じゃないですか。
「ちょっと洗濯してから行きますね〜!」と答え、炊事場で洗濯する。
洗濯が終わったところでさっきの管理人さんが出てきて、発電室で干していいよ!とのこと。
暖かくて乾きがいいそうなのでそうしてもらうが、ワタクシのあまりの絞りの雑さに怒られる(^^;
すごく面倒見の良い管理人さんでした。
管理棟の中の机には、なんだかスゴイ量の食べ物が並んでいた。
どうも、しばらくここに泊まっていた常連さんが明日帰るそうで、今日はもうあるだけの食料を食べてしまわないといけないそうだ。
常連さんは山口県からの車旅中で、北海道を回ってここまで降りてきたそうだ。
7月は天気がイマイチだったと嘆いてました。
今はすごく良い天気みたいなんですけどね。
バーナーで焼き鳥焼いてもらったり、トド肉の缶詰開けてくれたり、余市の高級ウイスキー分けてもらったり、
偶然来てこんな待遇してもらって良いのでしょうか?
まさかキャンプ場に来てこんなことになるとは思わなかったっす(^^;
管理人さんはこのあたりのことにとても詳しくて、奥州藤原氏の歴史から須川湖の地質のことまで熱く語ってくれました。
こちらのキャンプ場にはテントサイトに一つづつテントを張るための台があるのですが、
地震のときにはその台がだいぶ壊れてしまい、自治体に強く交渉したりご自分で直したりされたそうです。
今はもうキレイに直ってます。
やっぱり震度6ってすごい事なんですね〜。
東海地方にはいつか大地震が来る!と言われ続けてもう何十年も経ってますけどね。
だいぶお酒も回って良い感じになってきたところで、管理人さんが「星を見に行こう」とのこと。
キャンプサイトの眺めのいいところで飲みながら星待ちをする。
管理人さんオススメのフォークソングをBGMに余市ウイスキーを片手に星待ち。
こんな贅沢なことがありますかね?
空が澄んできたところで、3人で駐車場に寝転んで星を眺める。
管理棟の明かりが消えると、そこはもう真っ暗闇。
地元で見えるような一等星なんかいつもの何倍も大きく見える。
星の向こうに見える雲のような靄のような天の川も見える。
これまで見たことがない、満天の星空なのです。
山口の常連さんが言っていたのだけれど、こういう感じってどうやって言葉にしたら人に伝わるんだろう。
こうやって名前も知らない人と偶然会って、いつの間にか仲良くなって、酔っぱらったり星を見上げたり。
う〜ん、それは難しい。ワタクシの日本語力ではとても伝えられそうにないのです。
きっと、ここへ来て、3日くらい連泊してもらったらそれはよく伝わると思うんだけどね。
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