8月16日



さすがに標高1600mの街は気温が低いデンバーの朝、
ケンジさんの部屋に遅くまでお邪魔していたので、起床時間ギリギリまで寝てます。
といっても6時起床なんですけどね。
ホテルなんで準備も簡単。すぐ外に出て荷物を積み込む。
ケンジさんはすでに外で空手の朝練してました。タフだなこのヒト。

今日の走行予定距離も、400mile≒600km。
ありがたいことに・・・というかきっと暑くなるんだろうけど今日も快晴なのです。
ただ、今日はこれからなんとロッキー山脈を越えます。
あのロッキーを越えてしまいます(しつこい)。

インターステートハイウェイ70号線をひたすら西に向かっていく山越えルートは、
ロッキー山脈を越えるとは言っても近年道路の改良が進んでいてそんなに標高も高くならないそう。
へ〜、どれぐらいなんですか?と聞くと、3200mくらいかな〜♪とのこと。

・・・去年そのくらいの高さの富士山登って相当寒かったんですけど・・・(^^;

これは厚着していくところなんだろうけど、下界の気温はそれを許さないカンジなのです。
ヒートテックシャツや折りたたみのダウンをサイドバッグに詰め込んで、準備しときます。
どれくらい寒くなるんだろう?なにしろ自然現象すら日本と違う感じなので想像できないのです。





準備をして出発。
とりあえずヒートテックシャツとカッパでなんとかしてみます。
朝食はガソリンスタンド兼コンビニで頂きます。
なんとアメリカにはサークルKがあるんですよ!
いつの間にアメリカ進出を果たしたんだ、先越されたわ〜・・・。



ガソリンを入れて、ホットドッグの朝食を頂きます。
自分でどのソーセージがいいかとかチョイスするんだけど、適当に選んでもだいぶ美味い。
おかわりしようかと思ったぐらい美味いです。
コンビニデリ、恐るべしなのです。
ついでに、日本では行列ができていた「クリスピークリームドーナツ」も売っていたので買ってみた。
こちらはもっちりしてとても甘くて、なんていうか、アメリカ的なお味ですね。
疲れたときには美味しそうです。


お好きなソーセージをお選びください♪


食べ物が美味いっていうのは良い事だ!



駐車場でホットドッグをほおばる。
食べ終わるころにはずいぶん日差しが暑くなってきました。




相方Hは相変わらずの取り回し不可っぷりで、エレグラをケンジさんに駐車場から出してもらって出発。
かなりの重さと高級感なんですよこのバイク(ToT)

道はデンバーの街中を通っているけれどずっと高架になっていて、いかにも快適っす。
朝の気持ちいい空気をかきわけ、デンバー市内を抜ける。
ハイウェイは山へと向かって行き、景色は山になっていく。
日本の山とは気候が違うのか、周りは低木ばかりなのです。




高速コーナーが続く山道はめっちゃ楽しい。
ロッキー山脈を越えるなんて大それたことがこの初心者コンビにできるのかと非常に心配していたけれど、
走る道はこれまでと同じ。ダート出現なんてことももちろんなくて快適の一言なのです。
周りの車の流れが早いのをいいことに同じスピードでついていく。
何度ものコーナーを抜けるうちにまた少しずつスピードスターを倒せるようになってきて、これまた調子づいていくのです。

しばらく調子こいて走っていたらだいぶ標高が上がってきたようで、
寒くなって参りました。
来たよコレ3000mの恐怖(^^;

太陽が当たっているとあたたかいんだけれど、日陰になるととたんに寒くなる。
都合の悪いことに薄い雲が出てきて時折ホント寒くなるんだよ。
結構がんばって走ってたんだけど、途中のICでギブアップ。
インカムで「服着るから次のICで降りる!」と言い、ランプに入る。
相方Hは普段なら必ずワタクシより早く音を上げるタイプの人材なのに、珍しく「もうちょっと行けないの?」と言っている。
だって寒いんだもん、しょうがないじゃん。
そりゃ見知らぬICで降りるのはちょっと勇気がいるけどさ〜。



減速しながら2年くらい前に行ったオーストラリアでの、
「適当なインターで降りたらハーフインターで高速に戻れなかった事件」 (ツーレポ「オーストラリア編」参照)が
頭をよぎるけれど、もう降りちゃったものはしょうがないのです。

道の脇にバイクを止め、インナーダウンと厚手の手袋を着ける。
不安にかられた相方Hはなにやらブーブー言っているけれど、反応するとケンカになるのでインカムの音量下げてスルーしておきます。
オトナなのです。




ライトダウン&カッパ&ふかふか手袋を装備して走り出します。
てか、家から持ってきたマジダウンジャケット、車に積んであるけど車と離れちゃってるから着れないじゃん。
ってことはこれが最大装備なわけですね。
3000mの山を走るには激しく心許ないけど、まあ行くしかないでしょう。

ということで出発です。
幸いここはハイウェイへの出入りどちらもできたので普通に元の道に復帰できました。
よかったよかった。

じきに山は岩っぽくなってきて、そして視界が開けてきた。
一つ目の峠を越して、ここからは尾根みたいな道を行くようだ。
だいぶ気温は下がってきていて、多分20℃くらいになっていると思う。
夏の北海道(オホーツク沿い)くらいの気温です。
天気のいい野付半島 くらいかと思われます。
「天気のいい野付半島」なんて行ったことないけどね。
ちなみに天気の良くない野付半島はそりゃもう極寒の世界でした。

ずっと視界が開けているから、景色はと〜っても良いです。
湖なんか見えてきて、高原リゾートなのです。
なんていうか、ロッキー山脈っていったらもうガリッガリの岩山でものすごい過酷な環境を想像していたんだけど、
実際結構リゾートっていうかスキー場な感じです。
まあ、良いとこだからいい道ができてるんだろうけどね。


遠くのほうに雪残ってる山もありました。

周りがスキー場の看板だらけになり、寒さももう限界に近づいてきたところで、待ち合わせのICが見つかった。
打ち合わせどおり、降りてすぐのガソリンスタンドに入る。
手がかじかんで、熱い温泉につかりたい気分だ。
カッパを着て、登山靴を履いて寒そうにしている我々を見た店員さんに、
「トレッキングですか?」 と聞かれたのは無理もないと言えよう。

とりあえず給油&トイレを済ませたら、今回ばかりはアイスではなく日向ぼっこをする。
太陽の光だけはけっこう暑いのです。
これ、もし天気悪かったら大変なことになってましたね〜。
だって、スキー場があるってことは、結構水分的なものが降るってことだもんね。



格好とかかまってられないんです!

日向にしゃがみこんでふるふるしている我々を見てケンジさん、
「暑いとか寒いとかバーンと受け入れていくのがライダーってもんだよね〜。」
と、またドライバーならではの余裕発言をかましてくれてます。
いや、全くごもっともなんだけど、寒いもんは寒いのです。

そして「まあ、山降りたらめちゃくちゃ暑いから大丈夫!」とのこと。
この寒さの中では、ありがたいお言葉なのです。この寒さの中では、ね。
まあ、幸いなことにここがロッキー山脈越えの最高所だそうなので、これ以上に寒くなることはないそうです。



寒い寒い言ってても暖かくはならないので先に進むことになった。
「ここから先は、景色いいところが続くから、ちょっと停まって写真撮ったりして良いよ!でも、路肩とかは停まれないから、停めるとこだけ気をつけてね。」とのこと。
そうなんだ、まあ取り回し的に出られるかってとこが最も大きな問題な気がするけどね。
ちょっとの段差とかちょっとの傾斜でもうオタオタなのでその辺大変なのです。
世界的なバリアフリー化を切に求めている状態なのです。

走り出すとすぐに道は下りになっていった。
驚くべきことに、この道路には日本であれほど切望していた「下坂車線」があった。
日本よりもだいぶ大きいトラックが走ってるから、必要な道なんだろうね。
超ゆっくり下るトラックたちはホント大変そうでした。
あんなの制御不能になったら、大惨事だよね〜。


ず〜〜〜っと下り!
何しろロッキー越えだもの!

ロッキー山脈のこちら側の方がリゾート的にはいいのか、上りよりもたくさんの街があります。
湖とかあったりして、ちょっと停まってみたいけどあまりに道が快適すぎてがんがん飛ばしてしまいます。
傾斜がけっこうあるんだけど、道のつくりがゆったりしてるんでかなり飛ばせます。
と言ってもお巡りさんとかオービスとかあるんで、まあ120kmくらいのもんでしょうか。
気温もどんどん上がってきて、スピードが心地よいのです。

・・・


・・・・・・


・・・あれ?


気温がどんどん上がりすぎて、ちょっと暑くなってきたんですけど。
そんな違うもんか?気のせい?
と思って走り続けるも、やっぱり明らかに暑くなってきています。
これちょっと、もうダウンとか着てる場合じゃないっすよ。
ということでインカムに向かって「暑いから停まる!」と叫びます。
何しろものすごい風切り音なんで、小声で話しててもさっぱり聞き取れないのです。
まあ、マイク取り付け位置とかそういう微妙な具合でクリアに聞こえることもあるんだけどさ。

また不安になってピャーピャー言っている相方はまあ放置プレイでICを降りて、近くにあったGSに寄ります。
たいていのICの近くにはGSがあるのです。
さすが車大国っす。


GSはハイウェイのオアシスです。

バイクを止めると、下界はもう相当暑くなっていました。
ダウンとかカッパとか防寒用品を全て脱ぎます。
これは、これからますます暑くなるだろうな〜。
だってまだ午前中だし、道はずーっと下ってるし、涼しくなる要因がいっこも見当たらないのです。

コンビニでトイレに行って、ケンジさんがいない今、ここでコケたらえらいことになるんで超慎重に駐車場を脱出します。
でもでもでも、ひとりで駐車場から出られるようになったんだから、けっこうな進歩だよね!
いや、ワタクシは初日からひとりで出られてましたけどね。そこんとこ一緒にしないでくださいね。

さすが3000mの峠だけあって、下っても下ってもまだ道は続いている。
次第に景色が岩山になってきた。
岩の色も山の向こう側と違って、茶色い岩が露出している。
そうそう、ディズニーランドの「ビッグサンダーマウンテン」の山のような、それだけで日本では見たことがない色の岩山なのです。
いつからか道の脇を流れている川が、大陸とは思えない綺麗な水の色をしています。


あたりがごっつくなってきました。


その絶景の中、PAを発見いたしました。
ちなみにアメリカでは、高速道路が無料のため一般道と行き来自由です。
だからPAってワタクシが見た中ではほとんどなかったんだけど、ここにはあるそうな。
それって絶対絶景エリアでしょう。これは行くしかないですね〜。

ということでインカムに向かって「PA寄る!」と叫びます。
相変わらず不安に駆られた相方Hが(略
なんかちょっと道筋が複雑で困ったけど、無事駐車場に到着いたしました。


そもそもPAなのかな?


日本のPAとは違って、売店とかそういうのはないようです。
何があるかっていうと、ちょっとしたピクニックエリアというか芝生広場みたいなところ。
アメリカンの皆さんが芝生でくつろいでます。
そして、少し下ったところにはまだ上流域で激しい流れのコロラド川。
いや〜、何しろ暑いんでもう吸い込まれるように川岸まで降りちゃいます。
周りはとにかく山なのでまだ綺麗なコロラド川にちょっと触ってみる。
何だったら服のままざぶざぶ入って行ったって、走り出したらすぐ乾いちゃうしいいかなぁ、と思ったんだけど、
日本人が勘違いされてしまいそうなので自粛しときました。
オトナなのです。


綺麗・・・って言っても日本の川と比べたら汚いんだけどね。

綺麗に整備された芝生に転がってちょっと休憩。
芝生に転がるとか、日本でホントにやってるヒトなんかそう滅多に見ないんだけど、
ここはアメリカなのでそのへんフリーダムなのです。
この大らかさが良いですね〜。

綺麗な川と芝生で写真を撮って、再び走り始めます。
まだまだビッグサンダーマウンテンな渓谷を抜けて、また草原が広がる景色になってきたら目的のICがありました。
ちなみに、「目的のIC」とか適当なカンジで濁してますが、ハイウェイはICごとに番号が振ってあるので、
英語ができない我々でも「3番で待ち合わせね!」「あいよ!」くらいのライトさで合流できるのです。
これが文字表記だけなら、「読んでる間に通り過ぎました!」っていうプチ惨事 が割りと頻繁に起こっていると考えられます。

ICを降り、一番近くのスタンドに入ると、見慣れたシボレーがありました。
給油を済ませたら、お待ちかねのランチ。
アメリカのファーストフード事情が以外なほどよろしくて日々ウキウキなのです。
するとケンジさん、「今日はタコにしましよう。」とのこと。
お解りですね?もちろんタコスのことです。
ということで入ったのは「tacobell(タコベル)」
タコスって入ったらドンタコス的な硬い感じのブツを想像される方もみえると思いますが、そんなタコシェルにひき肉とかレタスとかトマトとかを挟んだ「ハードタコ」
それから、トルティーヤという、小麦粉の粉でできたちょっと分厚いクレープみたいなので具を巻いた「ブリトー」がメインメニューです(多分)。
で、あとは具なんかがちょっと変わってくると。
1個のサイズが小さいんで、ひとりで3つくらい食べれます。
てか、セットメニューにするとそんな感じで出てきます。

適当に注文して席に着こうとすると、「ここはソースを取らないと!」とケンジさん。
見ると、色とりどりのソースの小袋が置いてあります。
なるほどね。ソースで色々な味を楽しむのが正しいやり方なのですね。

スパイスの効いたタコスはなかなか美味です。
野菜もたくさん入ってて良いカンジ。
ソースも美味しいし、色々食べられてなんか楽しいし、これ、日本でも受けるんじゃないのかな〜。


ブリトー2本。さらっと完食できます。


ちなみにこのタコベルさん、その昔名古屋に出店されていたけど、イマイチ人気が出なくて撤退しちゃったらしいです。
それも今から20年以上前の出店だったらしいんで、もしかしたら時代を先取りしすぎて撤退に至ったのかもしれませんね〜。

タコベルを出ると、近くに念願のリカーショップがあったのでちょっと寄って行きます。
ビール1ケースと、ワインやらウォッカやら買っておきます。
ビールは飲みながら進んで、残ったらお土産に持って帰ろうという魂胆っす。
ちなみに酒税の関係で、ミラーライト(ビール)350ml、1ケースで1000円くらいっす。
もう、なんていい国なんでしょうかね〜。
ちなみに日本と同じく飲酒運転には厳しいそうですが、お巡りさんはアルコールチェッカーなんて持ってないんで、怪しいヒトは片足立ちをさせるそうな。
そんなんで解るのかは激しく謎ですが、その大らかさがなんか良いカンジなのです。

ビールをクーラーボックスに入れてもらい、今夜のビールを楽しみに進むことにします。
ちなみにですなあ、今日の目的地はモアブ という町。
アーチーズ国立公園という観光スポットのふもとの町なのです。
ちなみにまだまだ遠いっす。

もうここまで来ると相当暑い。
昨日の暑さが思い出される厳しい暑さです。
でも、ここから先はだいぶ砂漠になっていきます。
んでもって、ずっと行きたかった憧れのラスベガスは砂漠のど真ん中にある街なので、
それはもうそ〜れはもう暑いのだそうです。
いまの暑さなんて序の口なのだそうです。
ちょ・・・ちょっと心配になって参りましたよ?

しかしまあ、毎度のことながら心配になったところで進むしか道はないのです。
コンビニのトイレで服を水で濡らして出発です。
あっという間に乾いちゃうんだろうな〜。どうにかして保湿する方法はないもんでしょうか。
ちなみに、これから特に夏にこの辺りを走られる方にはあのパンチして冷えるやつ、あれ持ってくることをお勧めします。
あと、濡らして首に巻くやつとか。
とにかく冷え冷えグッズが心から恋しくなること請け合いです。

再び、ハイウェイに乗って走り出します。
走り出しは服の水分が非常に心地良いのです。
そうそう、アメリカにもライダー同士で交わすピースサインがあるんです。
道の向こうからライダーが来たら、左手を左斜め下に出すんだそう。
もちろんやってみると、すごく広い道で中央分離帯みたいなのがあるときでも、しっかりピースサイン返してくれました。
いや〜、やっぱりうれしいですね。
国は違っても、やっぱりライダー同士じゃないっすか〜(^o^)

それにしても暑い。
そして、満腹になったせいか若干の眠気がorz
そんなときには音楽と会話で乗り切ります。
もう、話すことなんてないっていうか、頭が回らないんで何話していいのかもわからないんだけど、
しりとりでも鼻歌でもなんかしてないと眠くなっちゃうのです。

だいたいケンジさん指定の待ち合わせポイントは60マイル毎くらい。
1時間くらいで休憩が定石なのです。
あんまり眠くなったら、停まって体操でもしてリスタートしてね、と言われているんだけど、どうしても先に進みたい気持ちが強くなっちゃうのです。
そんなこんなで、叫んだり写真撮ったりしながらごまかしごまかし進みます。

で、60マイル後、指定のICを降りていつもどおりガソリンスタンドを探すのです。


あれ?
スタンドらしきものがないですよ?

辺りはほとんど砂漠な草原。
一応、小さな集落みたいになってるんだけど、スタンドはなさげ。
しょうがないのでケンジさんご一行を待ちます。

コケないように気をつけてバイクを木陰に停める。
太陽はもうハンパなく熱いんだけど、日陰はそれほどではないのです。
そうか、気温暑いんじゃなくて、日光暑いんだ。
こんなところでもやっぱり日本とは違うのです。
不思議なもんですね。

水を飲んだり、座り込んだりしてケンジさんたちを待ちます。
一本道だから間違えることはまずないんだけど、結構時間があいてちょっと心配になる。
そうか、我々思ったより速く走れているんですね。
いやいや、ハーレーにも慣れてきたもんだな〜。

じきにケンジさんご一家到着。
「ガソリンスタンド、無いっぽいんですけど〜!」と言うと、ちょっとついて来て、とのこと。
エンジンをかけて車のあとを着いていくと、アメリカっぽい民家前に到着。
そして肩を落とすケンジさん。

どうしたのかと思ったら、ここは元ガソリンスタンドだったんだって。
そして現在はつぶれておられる模様です。


し〜〜〜んとする元スタンド

まあ、ガソリンは多分大丈夫だと思うんだけど、休憩時のお楽しみのアイスが食べられないんですね(ToT)
それ結構ショックです。
切ないです。
それくらいのウエイトを占める食品なのです。
ガビーンです。

まあ、無いものはしょうがないので、クーラーボックスからミネラルウォーターを出して頭からかぶってとにかく冷やします。
あまりの乾燥で、日本の夏の湿度がちょっと恋しくなるくらいなのです。
きっとこの辺りのヒトは、「日本の夏はまだ湿度があるからイイよね〜。」とか言ってるんじゃないでしょうかね〜。

とにかくスタンドが無いので、休憩もそこそこに出発です。
次の目的地は州をまたいだところにあるIC。
ビデオを撮ってくれているケンジさんたちの車に、手を振りながら追い越し、再び暑い暑い砂漠の中を走り始めます。

しばらく、ひたすら真っ直ぐだけれどアップダウンのある道を走ると、そこにあったのは「UTAH」という看板。
そう、長い長いコロラド州を縦断し、ついにユタ州に入ったのです。
いやもう、一体何マイルくらいコロラドだったんでしょうね〜。
さっぱり解らないけれど、大変だったことだけは間違いないのです。

走りながら看板をなんとかカメラに収めると、そこはもう完全に砂漠なのです。
いつかエジプトで見た「礫砂漠」っていうのでしょうか。
触ってないんで解らないですけど、この道のアップダウンっぷりは砂の砂漠ではないカンジがしますね〜。


あの看板から先がユタ州。

ユタ州に入ってしばらくするとビューポイントのPAがあったのでちょっと停まってみた。
小高い丘にあるPAから見えたのは、一面の砂漠。
部分的に低木が生えていて、完全な砂漠ではないんだろうけれど、
ここで迷子になったらおそらく水不足で死んじゃうんじゃないかと思います。
果たしてそれが砂漠か否かの基準にはならないだろうけどね。


なんか涼しそうに見えるのが癪だ。

はじめは人気のないPAだったんだけど、写真を撮ったりしているうちにバイクがたくさん入ってきた。
みなさん非常にイカツイけれど、何しろライダーだし、多分大丈夫でしょう。
そのうちのひとり、スキンヘッドの兄ちゃんに話しかけられる相方H。
ワタクシに輪をかけてカタコトな相方Hが聞き取ったところによると、彼もスタージスから走ってきた模様です。
バイクにくくりつけた大きな荷物の後ろには、彼と同じスキンヘッドで革ジャンを着たリカちゃんサイズの人形が乗ってます。
ほらね。基本的にみなさんいいヒトな感じなののですよ。
北斗の拳に出てきそうなスタイルなところを除けばね。


スキン兄さんと写真撮ってもらいました。



景色に満足したら、灼熱の原野の真ん中に延びる道をひたすら真っ直ぐ走り出します。
メイン道路とは言っても、何しろ州境の近くなんで車もまばらなのです。
ということで今回も最高速チャレンジの時間ですよ〜ぅ!

前の車を抜かして、自分の前に誰もいなくなったらスロットルをさらに回していく。
前回のドラッグスター400で、最高速140kmまでだったからな〜。
今回のエンジンは1250ccですよ!
これは期待が高まるところでしょう。

マイルで表示されていても、だいぶその感覚に慣れてきて、もう脳内換算をしなくても大丈夫なくらいになってきました。
ただでさえ、暑くて重い空気の塊が、すごい勢いで体にぶつかってきます。
70マイル、75マイル・・・風圧がどんどん激しくなってきて、今多分、後ろを振り返ったらヘルメット持ってかれる!
・・・80マイル、90マイル・・・全身の筋肉が緊張する感じ、自分が重くて腕に力が入る。
・・・・・・95マイル!・・・まで行ったところで、前のトラックに追いついてしまって減速orz
多分、まだ余力を残してるんだろうけど、スポーツスターのエンジンはしれっとした顔で回ってます。
シェルパ君のもういっぱいいっぱい感とは違うのです。


実はこの後、何回か試してみたんだけど、95マイル以上はどうしても行きませんでしたね〜。
たいてい、前の車に追いついてしまうのです。
それくらいの交通量はあります。
そう考えるとオーストラリアの方が車通りは少なかったですね。

ということで、今回の最高速は152km/h〜。
スピード違反取締りヘリとか飛んでないと良いんだけど(^^;

暑くて大変なんだけど、結構楽しく走れたユタ州境でございました。

待ち合わせのICを降り、ガソリンスタンドに立ち寄ります。
今回は寄り道があったので、ケンジさんご一家車が先に到着していました。
ガソリンを入れて、アイスを食べて一息つきます。
もう定番となったシャーベット。こればっかり食べてますね〜。
ほら、一応挙式前だからさ〜、クリーム系はちょっとどうかと思うんだよね〜。

ケンジさんのご案内によると、ここからは一般道を進んで、アーチーズ国立公園のあるモアブという街に行くそうです。
今夜はそこでキャンプなんだって。
どんなキャンプ場なんでしょうかね〜。
楽しみですね〜。
プールあるかな、プール。
この暑さでプール入ったらさぞかし気持ちいいだろうな〜。

一般道と言っても、今までとそう変わりなく原野に伸びる道を行きます。
けれど次第に景色は変わってきて、赤茶色の岩でできた岩山の間のようなところを走ります。
日本人の感覚で言うと、これまでに見たことのない景色なのでまるで映画のセットの中にいるよう。
レンガの色と言ったらいいのでしょうか。そんな色の巨大な岩山なのです。
不思議な感覚です。

岩山を抜けると、なんと街がありました。
そう、ここがキャンプ場のあるモアブの街。
観光地のようで、カワイイお土産物屋さんもありました。
スーパーもレストランももちろんたくさんあって、まあまあ、大きな街みたいです。
モアブの街を通り抜け、逆側の外れに今日のキャンプ地「KOA MOAB」がありました。

キャンプ場の入り口で先導の車が停まります。
後続の我々ももちろんストップ。
するとケンジさん曰く「キャンプ場の入り口が砂利道なんだけど、どうする?」とのこと。
砂利道って言ったって、その辺の駐車場くらいの綺麗に整備された道ですよ。
「大丈夫だと思います」と、ワタクシ。
「運転替わって下さい!」 と相方H。

・・・いや、だって川原の砂利道くらいのもんだよ?
すでにバイクを降りている相方H。
まあまあ、エレグラはものすごくデカイから、確かに怖いか。

ということで、エレグラ(ケンジさん)、スポーツスター(ワタクシ)、車(奥様)で進みます。

緩やかな下りを、ちょっとドキドキしながら着いていく。
ギアは落として、低速で行きましょうここは。
坂を降り、少し右にカーブしてフロント前に付けます。

・・・と思ったらスポーツスターの後輪がずるっと滑った!


「やべっ!」

 

 

 

・・・と思ったときにはもうコケてました(ToT)






が〜〜〜〜ん。
くれぐれもコケないように言われてたのに〜〜〜〜。
ひとコケ何十万 の世界なのにぃ〜〜〜〜orzorz

 

 

一瞬のことで何が起こったか解らない。

目の前で倒れて、ガソリンが漏れ出しているバイクを起こそうとしたけれど、全然持ち上がらないのです。

そこで、ケンジさんが駆けつけてくれてバイクを起こす。
「すみませ〜〜ん(ToT)」と言うものの、頭の中では2000ドルが飛んで行く様子が浮かんでましたとも。ええ。
バイクを立て直しながらも、「とりあえず、怪我はない?体がいちばん大事だから。」と気遣ってくれるケンジさん。
何しろ超低速だったんで、自分は問題ないみたいだ。
登山靴のおかげか、足も多分ちょっとぐらいエンジンに触ってたと思うけれどなんともないのです。



ま・・・まさかこんなとこでコケるなんて。
確かにワタクシ、全く目の見えない視覚障害者と卓球をやって見事負けるくらいの超運動オンチ ですけれども、
それでも一応オフロードライダー なのでございますよ!
フラットダートしか走れないとはいえ、100kmくらいは走ってきているはずなんですよっ!!
しかし、どんなけ言い訳してもキャンプ場入り口でコケている事実。


イタイです。
イタ過ぎます。



ちなみにこれがコケ現場。
この平らっぷりが涙を誘いますね・・・(ToT)


ちょっと冷静になったためか、非常に恥ずかしいです。
もう穴があったら入りたいとはまさにこのこと。
キャンプ場だけに、テント内引きこもりになりたい気分なのです。

ワタクシがが〜〜〜ん、となっている間に、ケンジさんはスポーツスターをてきぱきと動かし、
キャンプ場にチェックインを済ませ、我々を牽引している車の荷台に積み込んで指定のサイトまで運んでくれました。
が〜〜ん、となっているワタクシと、「やっちゃったね〜」と自分でなくて良かった感を丸出しにしている相方Hを見て、
「これから点検するから、とりあえずテント建ててキャンプの用意しといて」
と、緊張感あふれるセリフを言うケンジさん。
とりあえず、お言葉通り我々にできることはテント設営くらいしかないのです。
誠に申し訳ないことなのですが。


テントを建てて、寝袋を広げる。
キャンプ場は赤い岩山に囲まれて、とてもステキなロケーションなのです。
サイトはワタクシがコケたところよりはだいぶ細かく、締った土のサイトです。
風もないのでペグはささずに、重い荷物を放り込んで完成です。
このやっちまった感さえなかったら、最高のキャンプ地でございますとも。


ね、絶景キャンプ場でしょ?

テントを張り終え、バイク用装備を解きます。
身軽になったけれど、心に重いものを抱えたワタクシにケンジさん、

「え〜、点検の結果ですが・・・。」


来た来た来た。


何しろ初の大型バイクだし、コケて弁償までは想像していたけれど、
もしかして走行不能だったらどうすればいいんだろう。
だって、この先まだ1000マイルくらい走る予定なんですよ?
タンデムなんてそんな長距離は無理だろうし、かといってバイク1台とヒト一人が車に乗れるとも思えないし・・・。

 

「おそらく、走るのは大丈夫だと思います。ところどころ壊れちゃってるところはあるけど、今回は修理代はヨシとします。」


えっ?
ホントに?


「いやいや、それは請求して下さい。だって部品だってすごく高いんでしょう?」
「まぁ、今回はそんなに大きくは壊れていないし、大丈夫です。」
「でも・・・。」
「じゃあ、相方Hくん(←マッサージ師)のマッサージ2時間分でどうですか?」
「わかりました!相方Hはケンジさん宅に設置していきますっ!

ということで、心優しいケンジさんのご配慮で修理代は見逃してもらえることになったのです。
ケンジさんに教えてもらった今回の教訓は、「ダートでは、フロントブレーキは使わない!」とのこと。
そのつもりではいたんだけど、どうしても少しフロントも握っちゃってるんだろうな〜。
ヤバイ!と思ったらとにかく握っちゃうもんな〜(反省)


本格的な修理は明日の朝することになり、
今日はこれからアーチーズ国立公園の見学&ディナーに行くことになりました。
アーチーズの夕日は、赤い地面をますます赤く染めて、とても綺麗なんだって。
ということで気を取り直して出発っす。

車に乗り込み、キャンプ場を後にします。
しかしこんなフラットな砂利道でコケるとは・・・(涙)。
まぁまぁまぁ、こんなこともありますよホント。
走ってるときにコケなくて良かったってことにしておきましょう。


モアブの街を抜け、アーチーズ国立公園の入り口を入ります。
「アーチーズ国立公園」というのは、類を見ない様々な地形に加え、世界的に有名なデリケート・アーチ (Delicate Arch) を含む、2,000を超える自然にできた砂岩のアーチを保護しているアメリカ国立公園のことです。
砂岩っていうのは、砂が圧力なんかで固まった岩なので、一般的にもろいのです。
そのもろさ故に、風雨の浸食でこんな不思議な風景ができあがるのでしょうね。

きちんと車道が通った国立公園の中を走ると、巨大な壁のように薄い岩山や、つついたら落ちそうな岩、そしてアーチと言われる橋状に侵食された岩山なんかがあります。
壁のような山は、まるで何かの遺跡のよう。
とても自然にできたものとは思えないほど、壁っぽいのです。

 
突然そびえたつ岩山

 
バランス・ロック。
つついても落ちませんでした。





さっきのユタ州の看板にも描かれていた、アーチーズの中で最も有名な「デリケート・アーチ」はかなり歩かないといけないそうなのでまぁ良しとして、
車で近くまで行けるアーチからサンセットを眺めることにしました。
車で走っているとあちこちにアーチがあって、それはそれで不思議なんですが、
歩いて近くまで行くと、その大きさは一体どうしてこんなことになったのか、やっぱり映画のセットのように非現実的な景色なのです。
ここから先へ入ってはいけません的な制限もなく、岩に登ったりトリック写真撮ったりして遊びます。
傾いていく夕日に照らされて、どんどん岩が赤く染まっていき、とても綺麗なところでした。
いや〜、なんか満喫しちゃってるな〜。

 


「WINDOW」という名前のアーチ。
太陽もうちょっと待ってて!

 


変わっていく空と岩の色の
コントラストがめっちゃ綺麗です!




夕日が完全に地面の下にもぐったところで、車に乗り込み夕食に出かけます。
今日はモアブの街のレストランに入ります。
レストランはたくさんメインストリート沿いにありました。
そのうちの1件、ピザ・レストランに入ることになりました。

レストランは満員、何人かのお客さんが並んでいます。
なので、子どもたちには失礼して、我々は一足先にバーに入ることに。
レストランのうち何件かは、バーが併設されていて、そこでアルコールがいただけます。
別にレストランでも注文できるみたいなんで、一体どんな境目なんだかわからないけど、まあとにかくあります。ちょっとは雰囲気も違うような気がします。
「今日はおごりますよ!」とは言ってみたものの、見事ケンジさんに大人スルーをされ、
じゃんけんで負けたヒトのおごりということになりました。


ということでいざ勝負!


はい、思いっきり負けました!!


いや、そりゃもうわざと負けましたとも。
だって、ここで勝つわけにいかないじゃんね〜。

何だろう、きっと今日はそういう日なんだろうね。
なんだかんだ低下 してるんですよ。


奢る人がビールの種類をチョイスできるということで、
何を見てもまったくわからないけれど、魚のハンドルがついたサーバーを選ぶ。
サイズは?と聞かれて「large」と答えたら、
出てきたのはピッチャーサイズのジョッキになみなみと注がれた黒ビールでした。
さすがだわ。なにかしら一回り以上のでかさなのです。

そうこうしているうちにレストランの席が空いたので、そっちに移動します。
メニューを見ると、ピザだとかハンバーガーだとか、とにかくアメリカ的メニューがたくさん。
たくさんあって悩みすぎたので、1000円ほどのピザ食べ放題にしてみました。



お皿をもらって、いろいろなピザを頂きます。
どれもなかなか美味いですね〜。
日本のイタリアンバイキングと変わらないような感じです。
サラダバイキングもついていて、非常に美味でございます。

でも、後から出てきた子どもたちが頼んだメニューを見て衝撃っす。
一人用とは明らかに思えない大皿に、満載のポテトやらハンバーガーやらが載っております。
こんなの一人で食べられる訳ないじゃん!という量なんだけれど、バイキングよりももちろん安いんですね〜。
なんていうか、逆の意味でバイキングでよかった気もするけど、
要するに二人で一皿をシェアすればよかった気もしますね〜。
そのあたりの調節が非常に難しいところなのです。

とにかく満タンまで食べてお店を後にします。
疲れているところにビールが入って、おまけに満腹だもんだからもう激しく眠いです。
うとうとしながらキャンプ状まで戻ると、相方Hが「ケンジさん、マッサージしましょうか?」と申し出た。
しかし、やっぱり大人なケンジさん「早く寝てください。明日も早いですよ〜。」とのこと。
そのお言葉通り、明日は見所満載のため5時起き だそう。
ふふふふ、そりゃもう速攻寝ますよ!

ということでシャワーを浴びて即就寝っす。
何ていうか、食って走って遊んで飲んで寝る!という激しくシンプルかつハードな状況なのです。
部活のようですね〜。
充実した毎日だよな〜・・・とか思ってるともう意識オチちゃうのであります。
さぁ、明日はいよいよグランドキャニオンだ!
バイク、無事でありますように(^^;

 


 

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